INTERVIEW 2025.09.17

「Enjoy Everything」というスローガンで走る、挑戦を楽しむ1年とは?ーシードテック代表 高原大輔インタビュー

「Enjoy Everything」というスローガンで走る、挑戦を楽しむ1年とは?ーシードテック代表 高原大輔インタビュー

地方の中小企業のデジタル化・DX化を阻む、あらゆる課題を解決する新サービス「DX職-デジショク-」を7月にリリースし、新たな挑戦をスタートしたシードテック。

これまでの事業の柱であるフィリピン・セブ島でのデジタル留学やオフショア開発でも様々な挑戦が続くシードテックのこれからについて、代表の高原大輔に話を聞きました。

新サービス「デジショク」で地元・神戸から日本を元気に

ー毎年恒例のトップインタビュー、今年度もよろしくお願いいたします。7月に新サービス「DX職-デジショク-(以下、デジショク)」がリリースされるなど、挑戦心に溢れた夏を過ごされてきた印象です。今期のスローガンは「Enjoy Everything」であり、まさに挑戦を楽しんでいらっしゃるのではないでしょうか。

期初からオフショア開発の受注が増えたり、エンタープライズ企業による数千人規模の「ソダテク」利用が始まったりと、嬉しい悲鳴をあげています。7月には新サービス「デジショク」もリリースし、まさに新しい取り組みの連続です。

私自身、こうした挑戦にワクワクするタイプですが、大きな変化に戸惑いや心理的な抵抗を感じるメンバーがいるのも事実だと思います。だからこそ、行動指針の一つである「Enjoy Everything」を今期のスローガンに掲げました。挑戦の多い今を「楽しむ」マインドが、成果に繋がると確信しています。

もちろん、思うようにいかない壁にぶつかる瞬間もあるはずです。ただ、そんな状況さえも楽しんで、思考を切り替えて次のアクションにトライする。メンバーにはそんなスタンスを望んでいますし、私自身も今期は挑戦を楽しみ抜いて、最高の結果を生み出していきたいと考えています。

ーその「Enjoy Everything」を体現するように、新しいサービスである「デジショク」がスタートしました。

「デジショク」は、これまでの事業を通じて見えてきた課題感から生まれました。デジタル留学や「ソダテク」の営業活動などによって様々なお客様とコミュニケーションを取る中で、多くの中小企業がデジタル化・DX化に悩んでいると痛感したんです。

シードテックの創業から10年以上経って、地元である神戸に何か貢献できないかという想いも年々強くなっていました。この二つの想いが重なって生まれたのが「デジショク」です。これまでとは違うマーケットへの挑戦ですし、手探りな部分も多いですが、このサービスを育てていくこと自体が大きなやりがいですね。

▲「デジショク」で提供する「DX地図」

ー改めて、「デジショク」がどのようなサービスなのか、具体的に教えてください。

一言で言えば、「即戦力となるデジタル実務人材」を中小企業の皆さまに提供するサービスで、彼らはデジタルの現場感を持ち、経営と現場を繋ぎながら実務を推進できるのが特徴です。「DX職」という職種のプロフェッショナル人材だと思っていただければ分かりやすいかもしれません。

日本の99.7%を占める中小企業の多くが、デジタル化・DX化という文脈の中で「社内に専門的な人材がいない」「何から手をつければいいかわからない」「導入したツールが複雑すぎた」といった課題を抱えています。そういった企業の皆さまに、私たちが抱える「DX職」人材がチームの一員として参画し、課題のヒアリングから最適なツールの選定・導入、そして運用までを二人三脚で支援していきます。

将来的には、経理や労務といった職種と同じように「DX職」があらゆる企業にとって当たり前の存在になるだろうと考えています。「日本を支えるすべての中小企業にDX職を」というコンセプトを胸に、サービスを大きく育てていきたいですね。

ーその「デジショク」を、まずは地元である神戸から営業開始されています。そこにはどのような想いがあり、今後の展開をどう描いていますか?

神戸をデジタル化が一番進んでいる都市にしたいんです。

先ほどもお話しした通り、私自身が神戸出身ということもあり、地元に貢献したいという想いが強くあります。神戸には、素晴らしい技術やサービスを持つ中小企業がたくさんあり、ITやAIを活用することで、大きな伸びしろがあると感じています。「デジショク」を通じたたくさんの企業への貢献によって、地域経済の活性化を生み出していきたいです。

地方の産業が活性化し、日本経済に活力を与えていくことができるように、まずは、顔の見える関係性を築きやすい地元で「デジショク」の成功モデルを確立し、そのモデルを携えて関西圏、さらには全国へと展開していこうと考えています。

フィリピンで気づいた日本経済への危機感

ーフィリピン・セブ島への「デジタル留学」でも、新たな挑戦が始まると伺いました。

生成AIが急速に進化・浸透する中で、これからはエンジニアだけでなく、あらゆる職種でAIを使いこなすことが必須スキルになります。そういった環境に対応すべく、「すべての人にAI-Readyなスキルを」というコンセプトを掲げ、AI活用への多様なニーズに応えるラインナップを準備することにしました。

詳細は10月上旬を予定しているサービスリリースに併せて発表できればと思いますが、デジタル留学で培ってきた「英語学習機会」と掛け合わせることで、AI活用が当たり前になる時代にグローバルに活躍できる人材をセブ島から輩出していきたいと考えています。

ーこれまでのデジタル留学はエンジニア育成がメインでしたが、AI活用ワーカーを育成するコースが増えることで「デジショク」との親和性が生まれるように感じます。

まさにそれが狙いの一つで、「デジタル留学」によって育った人材が、「デジショク」のサービスを提供できる人材、つまり「DX職」として活躍できるような未来を描いています。「育成」から「活躍の場の提供」まで、シードテックが一気通貫で創出できるような環境を整えられればと考えています。

クライアント企業には質の高い、それぞれの課題感に合わせたデジタル化・DX化支援を提供でき、デジタル留学の卒業生には実践的なキャリアパスを提供できる。この好循環を創り出すことが、私たちの大きな目標です。

「DX職」があらゆる企業にとって当たり前の職種になるためには、その母数を増やすことが重要です。企業で働く管理部門のメンバーがデジタル留学を通じて多くの学びを得て、帰国後に所属企業のAI活用やDX推進などを牽引していくようなモデルケースが生まれることも期待しています。

ーセブ島にはオフショア開発の拠点もあります。冒頭でオフショア開発の受注が増えたというお話もありましたが、開発における強みなどを教えてください。

はい。この事業はコロナ禍という最大の逆境から生まれました。当時、ロックダウンによってデジタル留学がすべて停止になり、会社存続の危機でした。その活路として立ち上げたのがオフショア開発です。幸いにも私たちには創業以来培ってきた「エンジニア育成」のノウハウがあり、現地のフィリピン人エンジニアの採用・育成を進められました。この「育成力」こそが、私たちの開発事業の根幹であり、最大の強みです。

その育成は、単に技術を教えるだけではありません。私たちは、お客様の事業やサービス、企業文化を深く理解し、提案していくコンサルティング力にも自信があります。だからこそ、技術力はもちろん、価値観までフィットした、クライアント企業の一員のようなチームを組成し、育成できるのです。長くお付き合いいただいているお客様が多いことも、こういった背景があるからだと考えています。

そして、もう一つの大きな強みが、親会社であるギークスの存在です。開発を進めるにあたって、エンジニアが追加で必要になる場面もありますが、ITフリーランス活用のパイオニアであるギークスとのシナジーによって、柔軟かつスピーディに対応できています。

ー先ほどは「デジショク」のリリースを通じた地元・神戸への想いを強く語っていただきましたが、デジタル留学とオフショア開発の拠点であるフィリピン・セブ島への想いも強いのではないでしょうか。

もちろんです。そもそもシードテックは、「グローバルIT人材を育成し、日本と世界の架け橋になる」という想いを胸にセブ島で創業したので、フィリピンは私たちにとって原点であり、特別な場所です。

フィリピンは人口が1億人を超え、平均年齢は26歳と若く、英語が公用語で誰もが話せるという今の日本にはない大きな強みがあります。ですが、その一方で、自国ではグローバルに活躍できる産業がまだまだ少ないのが現状です。私たちが彼らにITスキルの教育や雇用の機会を創出することによって、互いにとっての良きパートナーとなり、ここまで関係性を築いてきました。

しかし、ここ最近は、フィリピンに限らず、東南アジア諸国が目まぐるしい成長を遂げており、もはや日本は「頼られる国」ではなく、「選ばれる国」にならなければ生き残れません。このグローバルな視点から日本を見たときの危機感が、国内の中小企業を元気にしたいという「デジショク」の構想に直結しています。

「Life Shift Platform」というコンセプトから生まれる一体感

ー新たな挑戦が多い1年となりそうですが、それを可能にするシードテックの組織としての強みは何でしょうか?

何よりもまず、メンバー一人ひとりが自分たちの事業を心から好きでいてくれること。それが最大の強みだと感じています。

私たちは「Life Shift Platform」という言葉を大切にしていて、シードテックに関わるすべての人の人生が良い方向に変わるきっかけを提供したいと願っています。例えば、オフショア開発の現場では、フィリピンのメンバーの人生が豊かになっていくのを目の当たりにできますし、デジタル留学の現場では、留学生が新たな挑戦に踏み出す瞬間に何度も立ち会うことができます。こうした「Life Shift」の瞬間に伴走することが、メンバー自身のやりがいに繋がっています。

また、東京・神戸・セブ島に拠点がある中で、国籍などを問わないグローバルでシームレスな環境が生まれ、お互いを尊重し合う一体感が生まれています。このカルチャーこそが、私たちの挑戦を支える原動力になっています。

ー一方で、たくさんの挑戦が走り、組織の拡大が予想されている中での課題はありますか?

メンバー一人ひとりのプロ意識の向上ですね。目の前の仕事一つひとつに当事者意識を持ち、お客様のために、チームのために何をするのか、何ができるのか、どのような貢献をするのか、それらを考え続け、行動に移していくことです。これは課題というよりは、行動指針の一つでもある「Be Athlete」の実践とも言えます。

アスリートは昨日より今日、今日より明日と日々の研鑽を怠りませんし、やるべきことをやり続けます。それはビジネスの世界でも同じです。組織全体でやり続けられれば、10年後には違う世界が待っていると思いますし、シンプルに浸透していくといいなと思っています。

▲セブ島のオフィスのメンバー

ーでは、今年度のシードテックの目標を教えてください。

何と言っても、まずは「デジショク」を軌道に乗せること。これが最大の目標です。ゼロからイチを立ち上げることの難しさは承知の上ですが、意地でも成功させるという強い気持ちでいます。日本の99.7%を占める中小企業のDX化を本気で支援できれば、必ず日本経済全体の活性化に繋がります。私たちの挑戦が、日本の未来を少しでも明るくできると信じています。

既存事業の成長も不可欠で、デジタル留学は、繁忙期である夏休みシーズンにはお申し込みをお断りしなくてはならないほどの留学生が集まり、大盛況でした。今後は新しいコースを立ち上げる予定ですし、新たな層のお客様に価値を届けることが重要となってきます。

開発事業も多くのオーダーをいただいており、まずは目の前の開発案件をやり遂げ、顧客満足度を高めることに集中します。同時に、新たなパイプラインの獲得に向けた営業活動を進め、来期以降の成長の種を蒔いていければと考えています。

たくさんの挑戦を行う1年ですが、同時に足元を固めていかなくてはならない1年でもあります。

ー最後に、中期的な目線で見据えたシードテックの目標を教えてください。

3年後には「デジタル人材といえばシードテック」「DX職といえばシードテック」と、誰もが第一想起するような存在になるのが私たちの目標です。

私たちは、デジタル留学や「ソダテク」で人材を育成し、その人材を「デジショク」として企業に提供し、さらには開発まで行える、ユニークなアセットを持っています。この「教育・人材・開発」が揃っているからこそ、企業のデジタル化やDX化を包括的に支援できます。

今後、多くの競合が参入してくることが予想されるので、圧倒的な実績とブランドをいち早く築き上げ、確固たるポジションを確立したいと考えています。日本中の企業で「DX職」が活躍し、「デジタル留学」の卒業生が日本のデジタル化を牽引していくような未来を一日でも早く実現したいですね。

ーありがとうございました!

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