INTERVIEW 2024.06.27

「Re:Build」というスローガンから伝わる、組織のさらなる強化への決意。IT人材事業本部長 成末千尋インタビュー。

「Re:Build」というスローガンから伝わる、組織のさらなる強化への決意。IT人材事業本部長 成末千尋インタビュー。

「Re:Build」というスローガンのもと、2025年3月期を走り始めた、ギークスのIT人材事業本部。

今回は組織を牽引する事業本部長の成末さんに、このスローガンを策定した背景とともに、大切にしている価値観やカルチャーをまとめた「Culture Deck」の制作エピソードや組織力強化に努める現在について伺いました。

組織力強化は、組織にいる全員で取り組むべきこと

ー今期のスローガンは「Re:Build」だと伺いました。再建や再構築といった意味が含まれているスローガンだと感じます。

前年度は営業組織の再編にチャレンジした一年でした。導入と検証を繰り返し、メンバー全員が新しい体制にフィットするまで、一定の期間がかかったことは事実です。ただ、これまで以上の成果も上がるようになってきましたし、さらなる組織力強化に向けて、組織を練り上げていきたいという想いが「Re:Build」には込められています。

ー事業本部長として「Re:Build」に向けてどのようなアクションを起こしていくのか、お伺いしてもいいでしょうか。

まずは「伝え続けること」ですね。組織力強化は誰かが取り組んでくれるものではなく、組織にいる全員が取り組むもの。他人事ではなく自分事として、組織をよりよくしていくのは自分なんだと自覚してもらえるように、マインドの部分に訴え続けていくことは私の役割だと思います。

その意味では5月末に「Culture Deck」が制作できたことはとても大きく、私たちが目指す組織像や「10の心得」に代表される行動指針、カルチャーや価値観が言語化されています。「Culture Deck」の理解、浸透を進めていくことも「Re:Build」に繋がります。

また、「営業における勝ちパターンを見出すこと」も重点的に取り組みたいと考えています。組織内のハイパフォーマーの行動を可視化・分析し、成果を導くためのキーアクションを明確化していきます。

各個人が成果を上げるために感覚的にやっている行動を「型」として落とし込むことで、組織的な営業力の底上げが期待されます。営業パーソンの行動が再現性の高い方法で実行に移せるように、そして、課題や改善点の抽出・検証・対応を素早く実施できるように、推進していきたいですね。

ー「Re:Build」に向けてメンバーにはどのような行動や意識の変容を求めていきたいと考えていますか。

「本質的な課題解決に取り組んでほしい」ということです。根本的な課題は何か?同じ失敗やミスを発生させないためにどうすればいいのか?成功した要因は何か?といった思考の癖づけを求めていきたいと思っています。

例えば、企業営業を行うメンバーの一人が「目標の成約数に届かない」という課題を抱えている場合、行動量で解決しようという上長の声かけは選択肢の一つとしてあるはずです。しかし、提案の質や決裁ルートの理解、コミュニケーションの内容などに問題があったとしたら、行動量でその課題は解決しません。

この一例は営業パーソンの多い組織にはよくあることだと思いますし、メンバーに行動を起こす習慣を身につけさせたいという意識によって、行動量でカバーするようにフィードバックしたくなる気持ちもわかります。ただ、このギャップがある限り、本質的な課題解決にはならないでしょう。

先ほど申し上げた「勝ちパターンを見出すこと」は、行動を細分化し、改善点を発見しやすくするための施策でもあるので、組織全体で勝ちパターンを見出すためにも、メンバー一人ひとりが自身で行動を分析する力も身につけてほしいですね。

ーメンバーが自身の行動や思考を言語化し、分かりやすく伝えられるようになることが求められそうです。

課題や改善点、失敗体験などだけでなく、良い事例や成功体験も同様で、その結果が生まれた理由を尋ねられたときに、明確に、具体的に回答できるかどうかが大事ですし、それができるメンバーが集まった組織は強いはずです。

また、自己分析に長けてくると、周囲からのフィードバックを鵜呑みにするのではなく、自身の意見と他者の意見をうまく組み合わせ、より良い改善行動に繋げられるはずです。上長や先輩の意見が必ずしも常に正しいわけではないですし、何が組織のプラスになるか、成果に繋がるかを考え、行動に移してもらいたいです。

「やりきった感覚」を毎日積み上げていく

ー先ほど、営業組織の再編にチャレンジした一年だったと仰っていましたが、前年度のIT人材事業本部を振り返っての総括を伺えるとありがたいです。

事業面でのチャレンジというと、「GEECHS DIRECT」の立ち上げがありました。企業とITフリーランスをダイレクトにマッチングできる検索型のプラットフォームであり、ITフリーランス活用を考える企業の担当者の方々の選択肢を増やすことができました。とはいえ、まだまだ道半ばであり、企業側の声を聞きながら、より良いサービスへ発展できればと考えています。

また「地方創生」と銘打って、大阪・福岡・名古屋というギークスの拠点があるエリア外への商圏拡大を地方営業部が中心となって動いてくれました。仙台で実施したイベント「Zunda Tech」の盛り上がり、またそこからの成果も素晴らしいものがありましたし、二桁を超える自治体の「プロフェッショナル人材戦略拠点」へ登録し、地方企業へのITフリーランス活用の啓蒙に取り組みました。

営業組織の再編に取りかかったこともあり、営業面でやや苦戦を強いられ、耐え忍んだ時期もありましたが、通期の売上高は過去最高を達成しましたし、セグメント利益も堅調に伸びました。ただ、もっと手応えのある一年にしたかったという気持ちもあり、それが「Re:Build」というスローガンに繋がっている面はありますね。

ー「地方創生」の話題がありましたが、成末さん自身も大阪や福岡に行き、ITフリーランスの皆さまとの交流会に参加したと伺いました。

コロナ禍以前は定期的に開催していた地方在住のITフリーランスの方々とのオフラインでの交流会を再開できたことはとても喜ばしかったです。地元でずっと暮らしている方、Uターン・Iターンで移住してきた方など様々な背景の方がいらっしゃって、私たちのようなエージェントを活用する背景や期待していることなどを伺いました。

仕事があったからここで暮らすこと、暮らし続けることを決めたという声はとても嬉しく、もっと貢献していかなくてはという気持ちになりましたし、こういった交流の機会を通じて、ITフリーランスの方々同士の横の繋がりを作っていくことも私たちの役割だなと感じました。

ーITフリーランスを取り巻く環境でいえば、インボイス制度の導入がありました。

私たちのビジネスモデルには大きな影響が予測されていました。私たちを経由して案件に参画しているITフリーランスの方々が「フリーランス」という働き方を辞めてしまう懸念もありましたし、何より売上や利益の成長鈍化や減少に対する危機感を抱いていました。

インボイス制度を解説するセミナーも多数開催しましたし、企業・ITフリーランス双方に対するメンバーのサポートもあって、結果的には、IT人材事業としての主要KPIである平均稼動期間や平均粗利総額なども前年よりポジティブな数値となっているので、危惧された影響をぐっと抑えられたのではないかと思います。

▲年始の書き初めイベントにて

ー年始の書き初めでも「堅」という字を選ばれていました。「Re:Build」というスローガンも含め、がっちりと組織を固めていく一年になりそうですね。

何度かお伝えしたとおり、勝ちパターンを見出すことなどを含め、部門ごとに成果を出すための「型」を確立し、それぞれのメンバーが自身で次の最善の打ち手を見出し、行動を起こせる体制を作ることが目下の課題です。社内システムや人材育成の仕組みの改善なども含め、やるべきことは多いですが、すべてが成果に繋がるので楽しみですね。

4月のギークスアワードの際にもお伝えしたんですが、私たちが営業組織である以上、全員が月末最終日の「やりきった感覚」を毎日積み上げていくことが大切です。やり残したタスク、明日でいいかと思ったタスクが成果の分かれ道になることもあるので、この部分へのマインドセットを改めて進めていくことにも取り組んでいきたいと思います。

いいぞ、もっとやれ

ー「Culture Deck」のお話もありましたが、IT人材事業本部のカルチャーについて教えてください。

「Culture Deck」は組織目線で見た会社紹介資料なので、読んでいただければそれだけで私たちのカルチャーが分かるアウトプットになっているので、ぜひ一度ご覧いただきたいです(笑)。

「Culture Deck」|ギークス株式会社

私たちは「10の心得」という価値基準を大切にしていますが、メンバー一人ひとりが自分にとって大切な「10の心得」を伝えられるので、共通言語がある組織だと思います。ただ、ここ最近で急激にメンバー数が増えたこともあり、これまで大切にしてきたものが希薄化する恐れを感じていました。

例えばですが、メンバーが自ら判断し動ける状態を作るための行動基準を事業部クレドとして、「Be an Achiever」「Be a Creator」「Be a Giver」という3つの言葉を発表し、また、より多くのメンバーが活躍できる組織を作るための組織ポリシーである「いいぞ、もっとやれ!」も伝えています。これらも「10の心得」同様、組織の中で使ってきた言葉ではありますが、その水準を整えることで、私たちがどのような組織なのか言語化することができました。

採用、教育、評価、キャリアパスなども最新版にアップデートした上で可視化できたので、求職者の方にとっても、メンバーにとっても、今とこれからのギークスを知ることができるものとなりましたし、個人的には、IT人材事業本部の原点に立ち返る場所だなと思っています。

▲「Culture Deck」|組織ポリシー

ーメンバーへの教育という観点でいうと、教育チームも立ち上がりました。

「Culture Deck」でも入社後の研修の内容をまとめていますが、教育チームが中心となって現場と連携しながら、入社から現場配属までのオンボーディングを進めてくれています。今年4月に入社した新卒メンバーも立ち上がりが良く、テストの合格率やKPIの達成率も高水準で進捗していますし、よく頑張ってくれています。

採用チームと教育チームのシナジーをさらに高めるための施策も打つので、「Culture Deck」の内容浸透と合わせ、この点においても組織力の向上に取り組んでいきたいですね。

ーありがとうございます。スローガンの話を皮切りに、たくさんのお話を伺うことができました。最後に、成末さんご自身が組織づくりにおいて大切にしていることを教えてください。

「Culture Deck」には掲載していないのですが、私自身は「仕組み」と「仕掛け」を大切にしています。仕事の非属人化やミスを未然に防ぐ体制など、汎用化や標準化によって「仕組み」を整え、未来志向での行動やアイディアを促す「仕掛け」によって組織を前進させていく、この発想が好きなんです。

「仕掛け」によって生まれた成果や状況に応じて、また「仕組み」を整えていくので、この2つはずっと回り続けていきます。今期のスローガンの「Re:Build」は、現状から見ると、ちょうど「仕組み」の終わり頃、「仕掛け」に向かうタイミングかもしれません。また来年の今頃にインタビューがあるのかもしれませんが、いいお話ができるように、前進していきたいですね。

ーありがとうございました!

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